「看護師は給料が高い」というイメージは本当なのか? 求人票には「月給〇〇万円〜」と書かれていますが、そこから引かれる税金や、体を削る夜勤の現実は見えません。

今回は、地方で働く看護師の実際の給与明細・賞与・源泉徴収票を公開します。 「平均データ」だけでは見えてこない、地方看護師の懐事情と、給与明細の”ある真実”についてお話しします。
これは個人事業主になる前のもので、現在は退職しています。

地方看護師の1ヶ月、給与明細を完全公開

まずは、もっとも労働条件がハードだった月(令和4年12月度)の明細から見ていきます。 額面(総支給)だけを見れば「高給取り」に見えるかもしれませんが、振込額を見ると印象が変わるはずです。
総支給と手取りの「ギャップ」に注目

実際の明細書(画像あり)をご覧ください。 この月の「差引支給額(手取り)」は、総支給額から約8万円近く目減りした金額になっています。
| 項目 | 金額 | 備考 |
| 総支給額 | 417,867円 | 額面の月収 |
| 差引支給額 | 337,534円 | 実際に振り込まれた額 |
なぜこれほど引かれるのか? そして、この金額を稼ぐためにどれだけの夜勤が必要だったのか? その「過酷な内訳」を分解します。
なぜ手取りは減る? 明細から見える「控除」の正体

「一生懸命働いた給料から、なぜここまで引かれるのか」 明細の右側(控除欄)には、強制的に天引きされる項目が並んでいます。
家計を圧迫する「最大の固定費」とは
私の明細の中で、もっとも高額な天引き項目は「厚生年金」でした。 その額は、なんと月額 31,110円 。年間で計算すると、約37万円以上が将来のために(強制的に)積み立てられている計算です。
さらに、健康保険(17,578円) や、前年の所得に対して遅れてやってくる住民税(13,000円) を合わせると、合計80,333円 が支給日前に消滅しています。 「手取り33万円」という結果は、これら高額な社会保険料を支払った後の、残された数字なのです。
看護師の給料は「夜勤」で決まる? 手当依存の現実

私の給与明細における「基本給」と「手当」の比率を見ると、ある恐ろしい事実に気づきます。 それは、「夜勤をしなければ、生活水準がガタ落ちする」という構造です。
一晩の夜勤でいくら変わるのか
私の職場の場合、夜勤に関連する手当は主に3種類あります。
夜間看護手当: 99,000円
夜間勤務手当: 22,287円
正月勤務手当: 5,000円
この月はシフトがハードだったこともあり、夜勤関連の手当だけで約12万6千円となり、月給総額の約3割を占める結果となりました。 基本給は 237,600円 です。もし夜勤がゼロだった場合、手取りは20万円前後まで落ち込む計算になります。 「基本給の低さを、夜勤手当(体力)でカバーしている」のが、地方看護師の偽らざる現実です。

ボーナス(賞与)公開:夏と冬で「手取り」が違う理由

続いて、看護師のモチベーションを支えるボーナス(賞与)です。 令和4年度の「夏」と「冬」の明細を比較すると、面白い違いが見えてきました。


冬のボーナスが増えた「ある項目」

夏と冬、それぞれの支給明細を見比べてみます。 支給額に差が出た決定的な理由は、冬だけに支給された「特別手当」の存在です。
| 時期 | 総支給額 | 手取り額 | 備考 |
| 夏(6月) | 392,100円 | 324,806円 | 基本のみ |
| 冬(12月) | 590,300円 | 467,515円 | 特別手当あり |
冬のボーナスは、基本手当のベースアップに加え、「特別手当 20,000円」 が加算されたことで、夏に比べて手取りで 14万円以上 の差がつきました。 年間合計の手取りボーナスは 約79万円。 ここでもやはり、約19万円(年間合計の控除)が税金や保険料として引かれている事実 を忘れてはいけません。
結局、年収はいくら? 源泉徴収票で見る「本当の稼ぎ」
月々の給料やボーナスを合計すると、最終的な「年収」はどうなるのでしょうか。 令和4年の源泉徴収票を検証します。

全国平均(519万円)と比較した結果
厚生労働省の統計によると、看護師の平均年収は約519万円と言われています。 私の源泉徴収票にある「支払金額(年収)」は以下の通りでした。
- 令和3年分:5,413,333円
- 令和4年分:5,382,852円
2年連続で約540万円前後をキープしており、全国平均を少し上回っています。 地方都市でこの年収は、生活水準としては悪くありません。

しかし、注目すべきは「社会保険料等の金額」です。 令和4年分では、年間834,640円 もの金額を支払っています。 年収540万円といっても、実際に自由に使えるお金は、そこから税金と保険料を引いた額に限られるのです。
まとめ:明細からわかる「地方看護師」の生き残り戦略

私の給与明細を公開しましたが、いかがでしたでしょうか。 地方で生活するには十分な金額に見えるかもしれませんが、その内実は「夜勤回数」と「手当」への依存で成り立っています。
「自分の給料は適正なのか?」 「今の働き方に見合った対価をもらえているのか?」
この記事のデータとご自身の明細を見比べて、キャリアを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

参考URL(出典データ)
記事内で比較に使用した統計データは以下を参照しています。
- 日本看護協会:2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 https://www.nurse.or.jp/home/assets/20250624_nl02.pdf
- 厚生労働省:令和6年賃金構造基本統計調査(職種別データ) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html
- e-Stat(政府統計):都道府県別・職種別賃金データ https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?data=1&layout=dataset&metadata=1&page=1&query=%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB&toukei=00450091&tstat=000001011429
- 国税庁:給与所得の源泉徴収票(記載要領) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2025/PDF/02.pdf

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